ピックアップ

抽選制民主主義とは?インターネット選挙の導入による新たな民主主義のカタチ

  • LINEで送る


皆さんこんにちわ、石田です。
今回は、少し大きい枠組みの話になりますが、私が考えるこれからの民主主義について、まとめていきたいと思います。


現在世界中で、すでに民主主義が危機にあるということは、誰も異論が無いのではないかと思います。その一つは、民主制に対する「支持が低下している (= 正当性の危機 )」こと。もう一つは「活力そのものが低下している (= 効率性の危機)」ことが挙げられます。

これに対する対処法として正解ではないかと思うのが「抽選制民主主義」です。

実は抽選制は、古代アテネの時代から存在しており、その伝統はイタリアやスペインの都市などで脈々と続いてきました。もともとは、市民 (=有権者) 自身が参加するのが民主主義だったのが、いつの間にか 民主主義 = 代議制 という形に、アメリカ建国の時代辺りから変わってきてしまったのです。

憲法や社会保障など、特に政治性や党派性を排した方が、良い結論が得られるものに関しては、政党政治に代議制のまま「お任せ」するのではなく、第三者となる市民(国民)・有識者・議員が入った、中立的な第三者機関で話あいながら意思決定をするべきではないでしょうか。

実際、国内の裁判における陪審制や、アイルランドの憲法会議、アイスランドの憲法討議会、カナダ・オンタリオ州の選挙制度に関する市民討議会、オランダの選挙制度市民フォーラムなど、抽選制は多くの場で実行されています。

これに対し、現在の代表制民主主義では、どうしても「選挙 = 政治性・党派性」というバイアスがかかりやすい状態の、いわば偏りのある民主主義では、その時どきの「ウケの良い政策」だけに流れがちになってしまいます。これだと本来国民が公平に議論したいであろう重要な課題に関してまで、その時のウケで当選した政治家に委ねることになる。つまりは、本当に国民の声を反映した政策・意思決定ができている、国民が納得している状態である とは、なかなか言えないのではないでしょうか。

もう少し掘り下げて言うと、実は抽選制民主主義は「熟議型民主主義」という表現の方が正確で、研究者によると、こうした熟議型民主主義の方が、より良い意思決定を促す確率が高い という指摘もあるんです。これからの時代に即した新しい民主主義のあり方。より市民・国民の意見が反映されたものを、私たちで構築していくというのも、必要なことであると思います。

そして、抽選制民主主義の他に、拘束力はなくても、インターネット投票(簡易な住民投票など)を参考にしながら市政・国政を判断するという「直接民主主義」を必要な場面に一部導入することができれば、これからの政治はずいぶん改善されてくるのではないでしょうか。今あらためて、未来の政治について、皆さんと対話をしながら築いていきたい。私はそう思っています。

(参考)D.ヴァン・レイブルック「選挙制を疑う」(原題Against Elections)